For Whom The Bell Tells(誰がためにベルは語る)
2016年12月人生におけるこの1年…
ポールの広報担当ステュアート・ベルのブログより
2017年1月11日掲載
9月15日木曜日 レスター・スクウェア ワールド・プレミア
1日中、天候が危ぶまれていたにもかかわらず、この日も美しい夕刻を迎えており、午後7時のレスター・スクウェアに雨の兆しはない。僕は「タレント用降車場」で待機しており、そこでは大勢の広報担当者がみんな、各々のクライアントの到着を待っていた。ザ・ビートルズの曲が爆音でレスター・スクウェアに響き渡ると、興奮のざわめきが空気中に広がっていった。今夜、この会場には何千ものファン、パパラッチの大群、一流のセレブリティ、国際色豊かなニュース番組のクルーを迎え入れることとなっており、おまけにアビイ・ロードの横断歩道のレプリカまで用意されていた。
マイケル・ペイリン、テリー・ギリアム、エリック・クラプトン、リアム・ギャラガー、ジュールズ・ホランド、ボブ・ゲルドフ、そしてマドンナなどが到着すると、群衆は熱狂した。だが、午後7時45分にポールとリンゴが到着すると、映画とまったく同じように、悲鳴は一段と高まった。レスター・スクウェア内に集まった熱心なファンの前を歩く2人にとって、この経験は間違いなく彼らを感激させていた。
ブルー・カーペットで映画に関してメディアと話した際、ポールは次のように語っている。「素晴らしい思い出が描かれていて、もちろんそれはジョンやジョージと共にプレイした時のものだ。だから感情に強く訴えかけてくるし、再び見られることは非常に特別なことだよ。ぼくらが忘れかけていたような素晴らしい出来事もあったね。例えば、アメリカの南の方にあるジャクソンヴィルの公演で演奏することを、僕らは拒否したことがあったんだ。なぜなら、その会場では人種で席が分けられていると聞いたからからなんだ、会場の片側が黒人用、反対側のもう半分が白人用という形でね――そんなことバカみたいだと僕らは思って、それなら演奏しないということにして、本当にやらなかったんだよ。だから、先方は規則を変えなくてはならなくなった。それがジャクソンヴィルでは初の座席が統合された公演になったので、今、振り返ってみるとすごくかっこいいことだと思ったんだ」
ブルー・カーペットでポールは、着用しているジャケットは“ハード・デイズ・ナイト”のプレミア上映で当時22歳だった彼自身が着ていたものであることを明らかにした。また、寸法直しは一切していないとのこと。また新たな、率直に言って信じ難い偉業だ!
映画を鑑賞する前、最後のメディアへの登場は、コメディアンのジョン・ビショップとの生インタヴューだった(ザ・ビートルズのフェイスブックのページを通じて世界中へライヴ配信され、また世界各地の映画館でも中継された)。そして、ポールはブルー・カーペットに集まった人々と共に映画館へと案内され、席に着く前にはリンゴと共にステージ上で紹介されることになっていた。2人は、紹介されるのをバックステージで待つ間、まるで男子生徒のようにクスクスと笑いっぱなしだった。2人が再び一緒にいる姿を見ているのは素晴らしい気分だったし、そこにはたくさんの愛情が流れていた。彼らが分かち合った経験の他にはない特別さが、驚くべき絆を生んだのだ。ステージでの紹介が終わると、ポールはついに着席し、大多数の観客と同じく作品を初めて鑑賞することになった。彼は一体どんな気持ちで映画『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』を観たのか、それについてはただ想像するしかない。
彼のキャリアにおけるこの時期のポールの映像を観ていて、僕は大変に興味をそそられた。なぜなら、彼の特徴はすべてが今と同じで、彼が人と関わる時の様子も変わらぬままであることが見て取れるし、興奮や驚きの感情もそのままだからだ。彼の活力や熱意は現在でも、当時有していた明らかな強さを保っている。彼の善悪の分別はいまだ妥協を知ることなく、映画の中のジャクソンヴィルで座席を分けられたオーディエンスに関する場面ほど、それをはっきりと示すものは他にない。この時、ポールが全世界に対してどれほど大きなインパクトを与えてきたかということを、僕は今までより一層強く感じることとなった。それは素晴らしいメロディーをはるかに超越するものだ。それは、彼が天から恵まれたとてつもない資質である――しかしその天賦の才に伴う責任もまた、とてつもなく大きい。
『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』は大成功だった。多くの方と同様、僕はザ・ビートルズに関するものはたくさん読んできたし、ザ・ビートルズの映像もたくさん見ているが、この映画には異なる視点を与えてもらい、新鮮だった。いろいろな意味において映画はポール自身のようだ。過去の輝かしい出来事のすべてをいつでも喜んで世の中に知らしめる一方で、前に進むための新しい方法を常に探している。
そんなこんなで、2017年グラミー賞のノミネートへと話題を移すことにしよう。『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』がベスト・ミュージック・フィルム部門でノミネートされているが、ポールの『タッグ・オブ・ウォー』のデラックス・エディションもベスト・ボックスド・オア・スペシャル・リミテッド・エディション・パッケージでノミネートを受けており、さらに、別の2部門でも名前が挙がっている。BFMジャズから出ているジョン・ダヴァーサのアルバム、『カレイドスコープ・アイズ:ミュージック・オブ・ザ・ビートルズ』が、ベスト・ラージ・ジャズ・アンサンブル・アルバム部門でノミネートを受けており、そのアルバムから2曲がさらに候補に挙げられている。“ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット”(フィーチャリングでレネー・オルステッド)がベスト・アレンジメント・インストゥルメント・アンド・ヴォーカルズ部門でノミネート入り、また“ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ”がベスト・アレンジメント・インストゥルメンタル・オア・ア・カペラ部門でノミネート作に選ばれている。そして、これでも十分でないというなら、“西暦1985年”のザ・ティモ・マースとジェイムスによるリミックスも、ベスト・リミックスド・レコーディング部門で競うことになっていることをお伝えしよう。
これに加えて、ポールからは1989年のアルバム『フラワーズ・イン・ザ・ダート』を3月に再発することや、新たなジャパン・ツアーの日程の発表があったばかりだ。2017年もまた、驚きや一生の思い出となる出来事が満載の素晴らしい年にするべく既に動き出していることがお分かりいただけるだろう。どうやら僕は、ポストイットをたくさん用意しておいた方がよさそうだ!
#ポール来日
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